1. 「見る景色」から「生きてきた景色」へ
前回、私たちは備瀬のシンボルであるフクギ並木を歩き、その「静けさ」が持つ価値を再認識しました。今日は、その静かな集落の奥深くに眠る、さらにディープな歴史と信仰のスポットを巡ります。
備瀬の風景は、単に観光客が「見るための景色」ではありません。それは、祖先から現代へと託され、人々と「共に生きてきた景色」です。その知恵と祈りが凝縮された場所こそが、集落の聖域です。
2. 神秘の絶景:「神が降り立った」ワルミ
フクギ並木から少し足を伸ばした先に、神が降り立ったといわれる聖域「ワルミ」があります。
ここは、二つの巨大な絶壁が向き合うようにそびえ、その隙間から神秘的なエメラルドグリーンの海が遠望できる場所です。岩が自然に作り出したこの「割れ目」は、外の世界と内なる静けさを隔てるゲートのよう。訪れる人は、その雄大で神聖な風景に心を洗われます。
ワルミは、集落の人々にとって大切な祈りの場であり、備瀬が単なる海辺の集落ではなく、深い信仰と歴史を持つ場所であることを教えてくれます。
3. 集落の原点:「軸石」と「紙アサギ」
備瀬集落は、琉球王朝時代から風水を取り入れて計画的に造られてきました。その集落造りの原点となった場所を訪ねます。
- 軸石(じくせき): フクギ並木のシンボル的な存在であるガジュマルの根元にあるのが「軸石」です。この石を基準にして、現在の備瀬の区画割りが行われたと伝えられています。まさに、集落のすべての始まりとなった、知恵と生活の基準点です。
- 紙アサギ(かみあさぎ): 沖縄の古い集落には、湧き水や馬場、そしてお祈りのための広場「紙アサギ」があったとされています。備瀬にもこの広場があり、集落の文化と歴史の中心地でした。古の風情と、人々の精神的な営みに触れることができます。
これらのスポットは、私たちのプロジェクトのテーマである「生きた知恵の継承」と深く結びついています。ただ「見る」のではなく、「なぜ、ここにこれが?」という視点を持つことで、備瀬の時間がより濃密な「時のしずく」へと変わります。
4. 備瀬の海に浮かぶ聖域「ミーウガン」
並木道を抜けて備瀬崎の海岸線に出ると、すぐ先に小島が見えます。それが「ミーウガン」です。
この小島は、島全体が神聖な聖域となっており、地元の人々が大切に守ってきた場所です。干潮時には歩いて渡ることもできるそうですが、潮の満ち引きに十分注意が必要です。海の美しさだけでなく、その背景にある文化を知ることで、備瀬崎の風景は一層深みを増します。
5. 終わりに:共創の舞台は、歴史の上に立つ
備瀬の地は、ただ美しいだけでなく、400年にわたり人々の知恵と祈りが積み重ねられてきた、強靭な歴史の上に立っています。
私たちが進める「BISEZAKI BASE プロジェクト」は、この古き良き知恵と、現代の知恵を融合させる挑戦です。この「生きた風景」を舞台に、あなたの専門性を活かし、共に次の100年の礎を築いていきませんか?
次回予告: 次回は、備瀬の静寂と対照的な、カラフルで賑やかな「おさかな天国・備瀬崎の海」に焦点を当てます。ウヤジのライフワークである「おさかな図鑑」のデータ収集を通じて、シュノーケリングで楽しむ海の世界を紹介します!


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