1. 静寂を抜けた先に広がる「生きたデータ」
前回、私たちはワルミや軸石といった備瀬集落の歴史と信仰という「静かな知恵」を巡りました。今日は、その静かなフクギ並木を抜けた先に広がる、対照的な世界——カラフルで賑やかな「おさかな天国」、備瀬崎の海に焦点を当てます。
備瀬の海は、ルリスズメダイ(★☆☆☆☆)やデバスズメダイ(★★☆☆☆)の鮮やかな群れが織りなす、まさに色彩の饗宴です。この賑わいは、私たちにとって単なる観光資源ではなく、「住人として、その生態系を理解し、安全に共生するための知恵の宝庫」です。
私のライフワークである「おさかな図鑑」のデータ収集は、この海中の賑わいを解読し、移住後の生活を支える情報戦略なのです。
2. データ収集の戦略:知識の「解像度」を高める
私が作成する「おさかな図鑑」は、遭遇難易度という指標によって、海中を戦略的に区分しています。この情報が、移住後の「情報(柱IV)」の核となります。
I. 確実性の基盤(★☆☆☆☆の重要性)
- ルリスズメダイ、ロクセンスズメダイといった定番種の情報は、「誰でも安全に楽しめる」という、将来のゲストへの信頼性の土台となります。この確実な情報こそ、プロジェクトの基盤です。
II. リスク情報の探究(★★★★★の真実)
- オルダルマオコゼ(★★★★★)といった命に関わる魚の情報は、究極のリスク管理です。彼らの擬態を見破る知識は、安全管理の礎となります。豊かさ(魚種)とリスク(危険生物)の両面から海を理解することが、海辺で生きるための「真実」です。
III. 行動の解像度を高めるツール
現在、私はプロの知見が詰まった二冊の沖縄魚図鑑を情報源としています。これらの情報と、私自身が収集したデータを統合し、どの魚を、どの潮位で、どの場所で狙うべきかという、極めて具体的な「行動の解像度」を高めています。
3. 終わりに:海中世界が与える「共生の知恵」
備瀬崎の海中世界は、私にとって無限のデータとインスピレーションの源です。
「備瀬崎の海で生きる」とは、この海中のルールを深く理解し、その中で自らの居場所を見つけることに他なりません。魚の群れが潮に合わせて動くように、地域の文化や慣習を理解し、その流れの中で自らを適応させていく。
この賑やかでカラフルな海中世界を解読することこそが、「場所の知恵」を獲得する最も確実な近道なのです。
次回予告: 次回は、ウヤジの物語として、故郷・奈良への想いという、私の人生の「第3章」のルーツに焦点を当てます。備瀬崎の静けさと、奈良の持つ歴史的な静寂にどのような共通点があるのか、私の哲学を深くお話しします。

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